nexus7(2012) のゴースト・タッチ問題

 

 2012年版nexus7は名機として有名、いまだに現役です。ところが古くなるとゴースト・タッチ(ゴースト・タップ、おばけタップとも)問題が出やすいという問題もあります。タッチスクリーンがうまく機能しない、振れてもいないのに画面が乱打されたようになる、などの現象で使いものにならなくなるわけですが、定石通りに画面の汚れを清掃したり保護シートを外したりしてもまず直りません。そこで普通は故障したと考えてあきらめてしまいます。

 そういう使い物にならなくなったnexus7(2012)の、画期的な修理方法がxdaで紹介されています。

Fixing Nexus 7 Touchscreen Issues in 3 Easy steps. by ChristianJay

 まず厚さ1mm幅4mm程度の結束バンドを10cm程度の長さに切って用意します。同じような大きさの絶縁物であれば結束バンドである必要はありません。ただし絶縁できればいいというものではなくて、そこにある一定の大きさな絶縁物を置く必要があるようで、ある程度の厚さと幅、長さを持っている必要があります。

 これを見た当初、効果があるとしたら絶縁性にあると考えて収縮チューブを差し込んで絶縁してみましたが逆にゴーストタップが悪化しました。非常に奇妙ですが、ナイロン結束バンドくらいの厚さと幅のものが非常に効果的に機能します。単純に絶縁すればいいわけではないのでまずは指示通りに「結束バンド」を使ってみて下さい。それを上記xdaの記事を参考にして所定の位置へセットします。手順は、

(1) スマホ用の分解工具を用いて背面の蓋を開ける
(2) タッチスクリーンの配線と基盤の間に結束バンドをはさむ
(3) 蓋を閉じる

 追加の注意ですが、

(a) 裏蓋が閉じにくい場合には裏蓋についている長方形のウレタンを除去します。これはタッチスクリーンの配線を圧さえる役目をしていますので、配線の下に置く結束バンドの厚さによっては蓋が閉まらなくなる可能性があるためです。ただし、もし裏蓋が壊れていてもともと閉まりきらない場合には、まず、裏蓋からウレタンを外さずに閉じてみて下さい。外さない方が、つまりウレタンがタッチスクリーンのケーブルに当たっているほうが好調に思います。裏蓋を閉じるためにウレタンを外して不調が起きている場合には、何か適当なものをケーブルの上にセットして裏蓋の圧力で固定されるようにしてみます。ごくわずかに設置を変えただけでも挙動が変化しますので確認と試行錯誤してみて下さい。

(b) 裏蓋に当たる端子が裏蓋の接点部へ的確に当たるよう調節すること。この端子は裏蓋についている各種フィルムアンテナやアースに繋がっていますので、接触が悪いと性能が下がります。裏蓋をきちんと閉じる必要があるのはそのためで、逆に言うと接触さえ確保されていれば蓋が完全に閉まらず少々浮いていてもかまいません。

(c) 裏蓋の固定用の爪が折れているなどでどうしても完全に閉まらず浮いてしまう場合には、セロテープなどを使って固定します。黒いプラスチックテープなら見た目もよく仕上がります。ビニールテープは不可。伸びやすいため時間が経つと浮いてしまいます。PTFEテープなどが適していますが見た目が気にならなければガムテープでも。

(d) 圧力や静電気などのごくわずかな変化でもnexus7のタッチスクリーンは誤動作します。差し込んだ結束バンドの位置や大きさ、裏蓋の閉まり具合によっては帯状に反応しない領域が出たり、ゴーストタッチが発生することがあります。裏蓋の長方形のウレタンを取り外したことでスクリーンのケーブルへの接触が失われ、これが原因で誤動作することもあります。逆に何かが当たって蓋が閉まりきらない時に誤動作することもあります。その場合は裏蓋を開けたまま動作させると正常に動きます。

 いずれも近所の100円ショップやホームセンターで普通に手に入るもので十分ですが、分解ツールだけはネットで買う必要があるかもしれません。もっとも少々傷がついてもよければ薄刃の工具でこじって開ける手も使えます。

分解工具の例
https://www.amazon.co.jp/dp/B07DXDP4GJ

 なお、ゴーストタッチの発生を確認するには「設定-開発者向けオプション-(入力)タップを表示」をオンにします。するとでタップ跡が画面に出るようになりますので、これによってゴーストタッチの発生を感知することができるようになります。

 さらにタッチスクリーンテスト(Siriuth氏作)というアプリを導入します。何も操作していないのにこのアプリの画面にタッチ跡が表示されるようであれば、ゴーストタッチが発生していることになります。そしてこの「タッチスクリーンテスト」では、上記のゴーストタッチ対策処理の効果を確認することもできます。タッチスクリーンテストを起動して、スクリーン上をくまなくタップ、スワイプしてみてください。

 その時、

(1) タッチに反応しない領域がありませんか?
(2) タッチしていないのに反応している領域がありませんか?

 もし異常が見られるようでしたら結束バンドの位置やタッチスクリーンケーブルへの圧力などを見直して、調整してみて下さい。ゴーストタッチはランダムに発生するわけでなく一直線に並んだ特定の領域に発生します。これはノイズが原因と思われ、原因周辺の部品の配置で大きく症状が変化します。これだけコンパクトに詰め込んだ筐体だと対策も難しく、個体差もあって試行錯誤するしかありません。

 上記修理法を編み出した人も最初はソフトウェア的な不具合を疑ったように、ゴーストタッチはいかにもソフトウェア的な問題のように見えます。電源を入れ直すと直ったり、負荷が高くなると現象が起きたり、アプリをたくさん入れると現象が起きやすくなるように見えるためです。なので各種のカスタムROMを試してみたり、導入アプリを厳選して減らしたり、タスクキラーやソフトウェア的な電源オフボタンを入れたりして騙し騙し使うわけですが、実は結束バンド一本を差し込むだけで解決するという衝撃の事実。そういえばこの現象は電源ボタンの対角線側、タッチパネルの配線ケーブルが存在するあたりで頻発します。

 といってもいまだになぜこの工作に効果があるのかはわかりません。

 問題のゴーストの発生する理由は多々ありますがその一つはデジタイザのフィルム・ケーブルが剥がれかけているか甘くなっているためではないかと思います。nexus7のデジタイザのケーブルはデジタイザのガラスへ貼り付けてあり、簡単に剥がれます。経年劣化もあって、ケーブルの接着が弱まるなどして剥がれかけの状態であると何かのきっかけでゴーストが発生するのかもしれません。そしてこの改造は寝ているケーブルを起こすことで結果的に接触状態を改善している可能性があります。(a)~(c)の追加の注意はちょっとした変化でゴーストが発生したり消えたりすることを示していますが、その変化がケーブルのデジタイザへの接触に影響を与えているため、ゴーストが出たり消えたりすると考えると納得がゆきます。

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